初めて日本代表として今年1月の全豪選手権を経験して
日本で戦っていたときと違って、周りの選手のフィジカルがとても強い、という印象を受けました。
迫力があって驚きました。
これまで海外で泳いだのはこのときだけですが、海外の選手たちはラストスパートが異常に速いと思います。
僕はスパートをかけたらそのまま逃げ切る、というレース展開をとっていますが、それができなかった。
スパートをかけると、みんなも上がってきて埋もれてしまう。
そして体がぶつかって泳ぎにくくなるんです。
さらに“抜かれている”と思うと精神的にも焦って、慌ててしまい…。
とばしているわけじゃないのに、いつの間にかバテてしまった、という感じでした。
OWSを始めたきっかけ
日本体育大学水泳部競泳ブロックの藤森善弘監督の勧めで始めました。
ディスタンスブロック所属の選手には、全員OWSを体験させるのが監督の方針なのです。
去年、初めて海で泳ぎましたが、そのレースに宮本陽輔(自衛隊)さんが参加していました。
序盤で一瞬、宮本さんから離れたのですが、その後、意外と追いついて最後までついていくことができた。
実は競泳のタイムでは、宮本さんと30 ~ 40秒ほど離れていますが、海では意外とくっついていける。
そういうところが競泳とは違うので、OWSはおもしろいなと感じました。
OWSの魅力、競泳との違い
OWSでは人の真横で泳ぐことができます。
泳ぎたい方向に自由に泳げるので、海のほうが泳ぎやすいですね。
あとは、最後の逆転のところでしょうか。
ラストスパートがかかってから選手が密集してゴタゴタするのですが、みんな抜け出そうと駆け引きをしている。
そういうところがおもしろいです。
今シーズンを振り返って
6月の10㎞強化練習試合で優勝して、練習の成果が結果に表れてきました。
ただ目標だった世界水泳の出場がかなわなかったのは悔いが残ります。
代表選考会を兼ねた日本選手権までOWSでは日本体育大学の誰にも負けていなかったのに、一番大事な本番で野中(大暉)くんに負けてしまった。
5位で代表になれず悔しい思いをしたので、これまで必死に練習に取り組んできました。
OWSで活躍する日本体育大学の同期(野中選手、森山選手)の存在について
“アイツらにだけは負けたらアカン”という気持ちがすごくあります。
そうした競争心は、同期で練習できるメリットかもしれないですね。
また、これがいいほうへ働いているのか、日本選手権が終わってから今までまったく調子が落ちないんです。
OWS、競泳での今後の目標
OWSも競泳も続けていきたい。
ただ、競泳については今の実力では卒業後も続けられないと思っています。
卒業後はOWSがメインになると思いますが、競泳も続けていけるように頑張ります。
理想のレース
初めにライバルたちを抜いて先頭に立ち、そのまま逃げ切る。
この形がいちばんカッコイイと思うので、そういうレースをやりたいです。
後ろで先頭についていくのはラクですが、自分としては「なんだか遅いな」という印象がするんです。
ちょっとさみしいですが(笑)、一人で泳ぐのがいちばんいいですね。
南出 大伸(みなみで たいしん)
所属:日本体育大学
生年月日:1996年4月13日
(2017年 第93回 日本選手権水泳競技大会 オープンウォータースイミング競技 インタビュー時)
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