menu

新倉 みなみ(Niikura Minami)選手

今シーズンを振り返って

今年は年頭から世界大会へ出場することが多く、この夏には初めて世界水泳に出場できました。 それ以前にはワールドカップに出させてもらいましたが、世界水泳はやはり雰囲気が今までと少し違った印象で、周りの選手たちの本気度が違う感じがしました。

世界の選手と5㎞で戦う、ということも初めてでした。 10㎞ではラスト3㎞が勝負と言われていますが、それは5㎞でも同じ。 まだ1周も終わっていないのに残り3㎞のところで、速い人たちはスパートをかけ始め、先に出て行っていなくなった、という印象でした。

世界水泳では、自分の今の力を100%出し切って全体の雰囲気をつかむことを目標に挑みました。 大会は6日間で1日1種目というスケジュールだったので、他のレースを見ることも勉強になりました。 そういう面ではいろいろなことを吸収できたと思います。

世界の選手たちとの交流について

私は英語が全然しゃべれないので、タイミングがないとなかなか話せないですね。 レース前は他の選手もピリピリしているから話しませんが、レース後は話すチャンスはあります。 でも、どう話しかければいいのか…(苦笑)。 全然言葉が話せないので、康翔(平井)さんなどはいろいろな選手と話していてスゴイな、と思います。

東京20020へ向けて

オリンピックについて、実は世界水泳前までは漠然としすぎていて想像できませんでした。 私は、“競泳でオリンピックで金メダルを取りたい”というのが小さいころからの決まり文句でしたが、その延長で始めたOWSでいきなり日本代表に選んでいただき、急にオリンピックが近くなりました。 ただ、そこに自分の気持ちがついていけないという感じだったんです。

でも今年、世界水泳に出て、2年後のこの大会で日本代表が決まると思うと、“オリンピックに出たい”という気持ちが自分の中で大きくなったと思います。 気持ちに変化が持てたのは周りのいろいろな人のおかげです。

競泳について

競泳のために始めたOWSですが、競泳のタイムはなかなか伸びず、海が原因なのかな、と思ってしまう時期もありました。 でもこの間の世界水泳で、ちょっと吹っ切れたところはあります。 今でも競泳は好きですし、大学のインカレ(日本学生選手権)でもいい成績を残したいので、所属する明治大学のチームのためにも頑張りたい。 今のところOWS一本でやる、という考えにはなっていません。

海とプールの両立について

人によるのかな、と思います。OWSではキックを打ち続けることは難しいもの。 そういう点で、幸美(森山)ちゃんは、もともと腕をメインに使って足はあまり使わない泳ぎ方なので、OWSでも競泳でもうまく泳げるのだと思いますが、私の泳ぎは足の動きが8割を占めます。

800mでは足のキックを中心に考えて、手は自然に回していくだけ、という感じで泳ぐので、正直OWSとの泳ぎ方の違いに悩むことはあります。 おそらく、人それぞれなのだと思います。

学業との両立について

水泳は大事ですが、一番はやはり学業だと思っています。 大学にもスポーツ推薦ではなくAO入試を受けて入学しました。 学部についても、大変なのを承知で理工学部を選択。 勉強は一番大切だと思っています。

水泳を離れた後の人生のほうが長いですから、将来のことはしっかり考えないといけません。 コレだ、という道はまだありませんが、いくつか考えたので、今はそれに向かって頑張っています。 世界水泳の最中も、毎日ホテルで課題をやっていました。 でもそれを苦しいとは思いません。

勉強を言い訳にはしないし、しようとも思いません。 きちんと両立させていきたい、という気持ちです。

次世代の選手について

脅威に感じる選手はまだ見つかりません。 でも、若い選手にもOWSを頑張ってもらって、将来を引っ張っていってほしいです。 このままでは東京オリンピック後はどうなってしまうのだろう、という思いもあるからです。 でも、国民体育大会の種目にOWSが追加されたことで、この世界を目指してくれる人が増えると期待しています。

OWSが楽しいと思う瞬間

一番好きなところは、ゴールタッチの瞬間です。 気持ちいいんですよ。 「あ、終わった」って、タッチ板を思いっきり“バンッ”とたたけるし、スッキリします。


新倉 みなみ(にいくら みなみ) 所属:セントラル目黒/明治大学 生年月日:1998年3月2日 (2017年 第93回 日本選手権水泳競技大会 オープンウォータースイミング競技 インタビュー時)

ここに記載されている情報/内容/写真の無断転用/転載等を禁じます。 ©取材・作成/日本文化出版株式会社